電気の実測ノート

電力7社の単価を自分の12ヶ月に当てはめた — 同じ式で比べられたのは4社だけで、差は年493円だった

結果
年493円
期間
12ヶ月
区分
試算
確認日
2026-08-19
測定方法と条件

測定方法: 東京電力エリアで契約できる7社の公式サイトを、それぞれのトップページから辿った。うち5社は料金表に到達して単価を転記できたが、1社は単価が見積もりフォームに進まないと出ず、1社は単価表のPDFにアクセスできなかった。自分の請求明細12ヶ月分から月別の使用量を取り出して条件に固定し、同じ3段階の式に載る会社だけを同じ計算に通した。あわせて契約中の事業者の単価が表のとおりか、請求額から電力量料金を逆算して突き合わせた

条件: 東京電力エリア・契約電流30A・一人暮らし・2025年1月分から12月分までのフル12ヶ月。⚠️ 比較表の金額は7社とも【基本料金+電力量料金だけを単価表から計算した試算】で、請求実額ではない。燃料費調整額・市場価格調整額・再エネ発電促進賦課金は計算に含めていない。実際の年間支払額は別物で、同じ12ヶ月の燃料費調整額は -15,491 円だった。使用量と、契約中の事業者の単価が表のとおりであることの逆算検証だけが実額に基づく

この記事の金額は試算です。 筆者が契約していないサービスについては、各社の公式料金表に筆者自身の実使用量を当てはめて計算しています。契約済みのサービスには「実額」と明記しています。

東京電力エリアで契約できる7社の公式サイトから単価を集め、自分の2025年1月から12月までの使用量に当てはめて比較した。 この比較は、基本料金と電力量料金の合計のみを対象とした試算であり、燃料費調整額や再エネ発電促進賦課金は含まれていない。 単価表に到達できたのは4社だけで、残り3社は静的な単価表が置かれていなかった、またはアクセスできなかった。

7社も調べたのは、多いほどいいと思っていたから

比較する会社は多いほどいいと思っていた。選択肢が広がるぶん、良い条件が見つかる確率が 上がると考えていたので、東京電力エリアで契約できる会社を7社ぶん、公式サイトを トップページから辿って料金表を集めた。

集め終わって分かったのは、7社を並べることができなかったということだった。 料金の決まり方が3種類あって、同じ式に載るのは4社だけだった。 選択肢が7つあると思っていたが、比べられる形をしていたのは4つだった。

条件は自分の12ヶ月の検針値に固定した

比較の条件は「標準的な家庭」ではなく、自分の請求書に載っている数字を使った。

供給エリア東京電力エリア
契約電流30A
対象期間2025年1月分 〜 12月分(フル12ヶ月)
年間使用量1,929 kWh
月平均160.75 kWh(117 kWh 〜 220 kWh)

段階別に分けるとこうなる。第3段階に一度も入っていないことが後で効く。

段階年間の使用量
第1段階(120kWhまで)1,437 kWh
第2段階(121〜300kWh)492 kWh
第3段階(301kWh以上)0 kWh

7社は3つの形に分かれた

各社の公式サイトをトップページから辿って料金表に到達した。 同じ「電気料金」でも、料金の決まり方が3種類あった。

形1:3段階制(4社)

大手と同じ形。契約アンペアごとの基本料金+使用量の段階別単価。すべて税込。

事業者基本料金 30A〜120kWh121〜300kWh301kWh以上
東京電力エナジーパートナー 従量電灯B935.25 円29.80 円36.40 円40.49 円
ソフトバンク おうちでんき935.25 円29.80 円36.40 円40.49 円
契約中の事業者935.25 円29.79 円36.38 円39.99 円
東京ガス 基本プラン935.22 円29.70 円35.69 円39.50 円

基本料金は4社ともほぼ同額(差は3銭)。 ソフトバンクの公式ページは税抜と税込の2列で書かれており、 税込の列は東京電力の従量電灯Bと完全に同じ(935.25 / 29.80 / 36.40 / 40.49 円)。 なお税抜の表示値(283.41 / 27.10 / 33.10 / 36.81 円)を1.1倍すると、 29.81 / 36.41 のように1銭ずれる列がある。表示されている税抜値そのものが 丸められているためで、基本料金の 283.41 円は10Aあたりの額(30Aは3倍)。

形2:一律単価(1社)

事業者基本料金電力量料金調整項目
楽天でんき プランS0 円36.85 円/kWh(一律)燃料費調整額ではなく市場価格調整額

段階が無く、基本料金も無い。調整項目の名前も違う。

形3:市場連動(2社)

事業者形
Looop でんき スマートタイムONE電力量料金の一部(電源料金)が30分ごとに変動する。上限単価の設定あり。解約手数料0円・契約期間の縛りなし
プライムでんき Jプラン電力量料金は一律だが、燃料費等調整額が市場価格に連動する。さらに容量拠出金反映額という他社に無い項目がある

この2社は3段階制ですらないので、同じ式に載せられない。 プライムでんきは公式ページに、メリットとして「エリアプライスが落ち着いているときに安い」、 デメリットとして「高騰した際に高くなる」と自社で並べて書いている。

単価表が本当か、実額から逆算して確かめた

契約中の事業者について、2025年1月分から2026年7月分までの19ヶ月分の請求額から 電力量料金を逆算した(2026年5月の廃止精算・2日分は日割りなので除いた)。

逆算した電力量料金 = 請求額 − 基本料金 − 燃料費調整額 − 再エネ発電促進賦課金
月使用量逆算した額単価表で計算差
2025-01170 kWh5,393.45 円5,393.80 円-0.35
2025-06134 kWh4,084.01 円4,084.12 円-0.11
2025-08220 kWh7,212.75 円7,212.80 円-0.05
2026-07283 kWh9,503.77 円9,504.74 円-0.97

19ヶ月すべてで差は1円未満(-0.05 〜 -0.97 円)。円未満の端数処理で説明がつく。

同じ式に載った4社を計算する

12ヶ月の使用量に各社の単価を当てはめ、年間の「基本料金+電力量料金」を出した。

基本料金/年電力量料金/年合計契約中との差
東京電力 従量電灯B11,223.00 円60,731.40 円71,954.40 円+24.21 円
ソフトバンク おうちでんき11,223.00 円60,731.40 円71,954.40 円+24.21 円
契約中の事業者11,223.00 円60,707.19 円71,930.19 円—
東京ガス 基本プラン11,222.64 円60,238.38 円71,461.02 円-469.17 円

年約7万2千円に対して、4社の開きは493円。率にして0.69%だった。

契約中の事業者に乗り換えて安くなったのは、東京電力と比べて年24円。 単価差が最大の第3段階(0.50円)に一度も到達していないためで、 差の内訳は第1段階14.37円+第2段階9.84円になる。

一律料金の1社を並べると

年額契約中との差
楽天でんき プランS71,083.65 円-846.54 円
東京ガス 基本プラン71,461.02 円-469.17 円
契約中の事業者71,930.19 円—
東京電力 従量電灯B / ソフトバンク おうちでんき71,954.40 円+24.21 円

5社の開きは年870.75円(1.22%)。

ただし楽天の調整項目は「市場価格調整額」で、他4社の「燃料費調整額」とは別物。 厳密には同じ式に載っていない。この表は「基本料金+電力量料金だけを比べた場合」の数字で、 実際の請求額の順位がこのとおりになるとは限らない。

差より17倍大きい項目があった

この12ヶ月、燃料費調整額は毎月マイナス(値引き)で、年間 -15,491 円効いていた。

年間
5社の単価の開き870.75 円
燃料費調整額-15,491 円

17.8倍。 そして各社で扱いが違う。

単価表を見比べても、金額を決めているのは単価ではなかった。

事業者自身が「単価で比べるな」と書いている

調べている途中で、ある事業者の公式ページにこの記載を見つけた。

当社の燃料費調整は、市場調整や電源調達調整等のないごく一般的な燃料費調整ですが、 反映する燃料輸入価格に上限を設けておりません。当社と異なる燃料費調整を採用している 電力会社と比較する場合は、燃料輸入価格等の動向により表示しているおトク額よりも さらに割安、または割高となる可能性がございます。

売る側が、比較の限界を自分で書いている。

単価表が公開されていない会社もある

7社のうち、公式サイトに静的な単価表が置かれていない会社があった。 プラン紹介のページはあるが、単価は見積もりフォームに進まないと出てこない。 別の会社は単価表がPDFで、そのPDFにアクセスできなかった。

単価を並べた比較記事を作ろうとすると、そもそも全社の単価が揃わない。

比べた結果、乗り換えないつもりでいる

年 493 円という差を見て、乗り換えないつもりでいる。

契約中の事業者には株引換券が付く。時期が来たら株に引き換えられるので、 投資になる分そちらの方が魅力的だと考えている。 単価の差より株引換券の還元の方が良い、というのが理由。

見ているのは今の還元率だけではない。株は今後の増加を見込んでいて、 現時点の還元よりも膨れ上がると読んでいる。 ただしこれは自分の見込みであって、確実な話ではない。

この数字の前提

電気料金は4つの項目でできている

電気料金は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、再エネ発電促進賦課金から構成される。 経済産業省が定める再エネ発電促進賦課金は、電気を使うすべての人が使用量に応じて負担するもので、単価は年度ごとに国が定める。 2026年度の単価は1kWhあたり4.18円で、2026年5月分から2027年4月分まで適用される。 東京電力エナジーパートナーの燃料費調整制度では、燃料費調整単価は3か月間の貿易統計価格にもとづき算定し、2か月後の電気料金に反映される。 三段階料金制度では、第一段階が月120kWhまで、第二段階が121kWhから300kWhまで、第三段階が301kWh以上で、段階ごとに単価が変わる。 筆者の比較では、これらの調整項目や賦課金を計算から除外し、単価表に基づく基本料金と電力量料金の合計のみを並べた。 そのため、実際の請求額とは異なる点に留意が必要である。

選んでも動かない項目がある

燃料費調整額は、事業者によって上限の設定の有無が異なる。 東京電力の従量電灯Bは規制料金で、燃料費調整額に上限がある。 一方、契約中の事業者は公式に「当社の燃料費調整単価は上限がないため、燃料価格高騰により大手電力会社の料金よりも割高になる場合がございます」と明記している。 東京ガスも公式に「燃料費調整額の上限の設定はありません」と明記している。 楽天でんきは燃料費調整額ではなく市場価格調整額を採用しており、Looopとプライムでんきは市場価格に連動する。 筆者の12ヶ月間では、燃料費調整額は年間-15,491円となり、5社の単価の開きである870.75円に対して17.8倍の大きさがあった。 単価表の比較だけでは、金額を決めている要素を把握しきれない。 事業者自身が比較の限界を公式ページに記載している場合もある。 「反映する燃料輸入価格に上限を設けておりません。当社と異なる燃料費調整を採用している電力会社と比較する場合は、燃料輸入価格等の動向により表示しているおトク額よりもさらに割安、または割高となる可能性がございます」という記載がある。 このように、選べる範囲外の項目が最終的な支払額に大きく影響する。

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